「金閣寺」 著者:三島由紀夫
知る人ぞ知る名作。普段あまり歴史ものとか時代ものを読まないが、たまにはいいかと読んでみた。
一言で言うなら、狂気というのだろうか。途中でやめてしまうかもと思ったが、意外とあっさり読み終わった、文章の美しい1冊。

名前は聞いたことあるって人は多いんじゃないかな?代表作も多数あるし、ノーベル文学賞候補になったこともあるらしい。割腹自殺をしたことでも有名だね。ニワトリも詳しくは無いし、他の作品を読んだことはなかった…と思う!

個人的には太宰治の「人間失格」を読んだ後のような読後感があったかな。こういう本ばっかり読むと、少し心が闇に向かうような感じがする。
溝口の心理を描く三島由紀夫は、どんな思いでこれを執筆したんだろうか。

僧侶の子供として産まれた「溝口」。吃音と美しいとは言えない外見、極度のコンプレックスの塊であり人に親しまれず育つ。金閣寺へ思いを深め、青年へと成長する過程で金閣寺を焼くまでに至るその心理…

何度か読まないと理解できないと思うし、そもそも理解はできない気がする。が、闇の中を見るような心理描写に引き込まれた!流れるような巧みな言葉に、狂気が理解しきれないニワトリでもするすると読めてしまった。
金額時にすべてを捧げるような、不思議な感覚。芸術的な表現も多くある。

「金閣を焼かねばならぬ」このインパクトのある言葉!

ラストはやっぱり…こうなるんじゃという予想で読み進めたが、そうきたか…とう感じ。
主人公はそれで幸福になれたのか。そもそも幸福になろうとしていないか。溝口は何て苦しい生き方をするのか…。

モデルとなった事件もあったようだ。1950年に金閣寺が放火により全焼している。そしてその犯人は僧侶だった。衝撃的!
人間とは何か、美とは、障害とは、いろいろ考えさせてくれる1冊でした。