「長くなった夜を、」
著者:中西智佐乃
家族のありかた、親の束縛…苦しくなる内容だった。女性として理解できる部分が多くあり、薄めの本なのですぐ読み終わった。親の立場として読んで欲しい1冊。
主人公は38歳実家暮らし
コールセンターの派遣として働く主人公、関本環。厳格な親に従い、自分を押し殺して生きている。
心の苦しみが、じわじわと摂食障害や突発的な行動に繋がっていく。
環とは対照的な妹の存在が、元保育士の環に影響する。シングルマザーの妹は男の子の世話を環に任せている。環は公彦に愛情を注ぐ。
環は保育士として働いた期間、うまく仕事ができなかった。おそらく発達障害もあるであろう環。
親の「普通」に答えたいと必死になる姿が痛々しい。
子供は親の所有物ではない
もう大人である環に、門限やありとあらゆる制限をかける親。自分の思うとおりの人生を歩ませるように縛り続ける。
本当にこういう親にはなりたくない。特に子供が小さい時は子供に知識がない。親のいいなりだ。
でも子供は親を信頼するしかないし、家を出ていくこともできない。ある意味洗脳のようなものだろう。
少しずつ親は子供から手を離し、自立できるよう促していく。その後は自分の足で立って、自分の責任で生きていってもらいたい。
少しだけ見えてくる光
コールセンターの友人が、ほんの少しずつではあるが、今の状態が普通でないことを伝えてくれる。
「私には何もない」
環は言う。環の言葉にニワトリも涙がでそうになった。
逃げていいんだよ!と言いたい。でもそういう力が無い。何十年を親と一緒に、自分を殺して暮らしてきたのだ。
何かちょっと怒りのニワトリになってしまった!
